ゴルゴおじさんの独り言

50歳の方が昔を懐かしむためのブログ

ダービー物語事件

一応、ダービー物語事件の詳細を載せます。

一番分かりやすい方の文章をそのまま掲載。


■平成5年10月19日

埼玉県警と大宮署が平和本社及び工場を家宅捜査。

同時に埼玉営業所と県内の設置店8軒から約200台のダービー物語を押収。


容疑は「風俗営業適正化法違反(無承認変更)」でアタッカー周辺の釘曲げで連荘システムを作動し易くさせていたというもの。


■平成5年10月25日

埼玉営業所社員・ホール店長を同容疑で逮捕


■平成5年11月2日

埼玉営業所所長と社員3人を同容疑で逮捕(翌日家宅捜査が行なわれる)


■平成5年11月7日

埼玉営業所係長逮捕


■平成5年11月15日

全員釈放


■平成5年11月18日

埼玉県警により、ダービー物語を設置していた仙台・北海道(小樽)・静岡(富士)のホールに捜査が入る。機種の撤去だけではなく、ホール事務所や経営者宅、更に平和の各営業所にまで及ぶ大規模捜査となる。この結果逮捕者が5人でる。


対象店舗はテスト導入店で容疑は「違法改造台(釘曲げ)による営業」というもので、新聞やニュースではメーカー主導による違法改造機で本社が関与と報道される。


■平成5年11月25日

全員釈放される。


「ダービー物語事件」は当時、一般誌や新聞にも取り上げられた為、パチンコファンならば、その名前位は印象があるかも知れません。しかしその報道があまりにも突然だった為、一体どのような経緯で何の理由でというのはほとんど情報が流れていませんでした。


今では平成5年の10月~11月にかけての経緯を総称して「ダービー物語事件」と呼んでいるわけですが、これだけ大掛かりな捜査が行なわれたにも関らず、結局逮捕された人は全員起訴猶予処分となっており、実質誰一人として有罪にはなっていないのです。


勿論警察も気紛れで捜査を行なったというわけではなく、そこに至るまでにはメーカーと警察の度重なる様々な伏線を見逃すわけにはいきません。


パチンコ台は、平成3年の新要件機登場に伴い、それまで黙認されていた一発台やおまけチャッカ-方式のデジパチが姿を消す事となりました。これらは機種によってはいびつな釘調整によって成立しており、それらを事実上撤去する事が目的となっています。


ところが、メーカー側は新要件の解釈の盲点をつくような形で次々と連荘デジパチを出し続け、業界健全化とは全く逆の方向に進んでしまったのです。


当時行政側が目指したのはパチンコCR機化構想でした。毎年脱税ランキングでトップとなっていたパチンコ業界に、金銭の流れを管理するCRユニットを設置する事で不明瞭な部分をクリーン化させようとしていたのです。


確かに一見すると、非常に有効な手段のようにも取れますが、実際には遊技の際の売り上げに介入する事で莫大な手数料をせしめようという、お上の思惑がひしひしと感じ取る事ができます。ユニットを製造する会社やカードを管理する会社が全て官僚の天下りとして設立されているのですから・・・・


しかしこれらはホール側の反対だけでなく、実際に機種を開発するメーカーも否定的な見解を示していました。コストがかかるだけで、わざわざ導入するメリットがほとんどなかったからです。元々天下りの人達が利権に群がるようにして考え出したシステムなのです。なくてもよい物を無理矢理付け足して、その負担だけはホールやメーカーに押し付けても上手く行くはずがないというものです。


一応CR機には差別化という意味で確率変動という特例機能が認められていたのですが、現実には現金機でその規定以上の連荘機が数多くホールに設置されていたのです。


行政側にとって連荘機というのはCR機の導入を拒む目の上のタンコブのような存在でしかなかったわけですね。


そこで再三に渡り連荘機自粛要請を行ない、その結果メーカ-側の組合である日工組は平成4年5月に一部連荘機に対して販売自粛の処分を行ない同年7月をもって販売停止にすると共に、連荘機の開発競争に歯止めをかけるべく、以後の機種は連荘率10%以内に抑えたものを開発するという自主規制を行ないました。


しかし、これらはあくまでも組合内の申し合わせに過ぎず違反したからといって処罰があるわけでもなかった為、実質連荘機は野放し状態になっていたのです。


自粛の姿勢だけ見せておけば警察も納得するだろうというのがメーカー側の目論見だったようなのですが、残念ながらこれは裏目に出てしまいます。


改善の姿勢が見えないメーカー側の対応に対し、警察側は平成5年6月検定取り消し処分も視野に入れた警告書を日工組に送付したのです。


メーカー側も警察の本気度に恐れをなしたようで、即座に自粛の改善案を提出して事態の収拾を図ります。


しかし提出後わずか1ヵ月後の9月(この間は新機種の販売が自粛されていた)、各メーカーが警告書発令以前に認可を受けた新機種を次々と発表(当然連荘機)した事により、行政側は再度改善勧告を発令し、これにより事実上連荘機の開発がストップする事になりました。


そして上記勧告に対し、日工組が提出した自主規制案が承認されたのが10月18日。つまり、ダービー物語は一連の騒動が収束したと思われたその翌日に発生しています。正に寝耳に水のような出来事として強制捜査を受けたわけなのです。


それまで勧告に対しのらりくらりとその場しのぎの対策を取ってきたメーカー側に対して、その本気度を警察がみせつけたとも言えるかも知れません。


でも何故その対象がダービー物語だったのでしょうか?


事実、ホールにはダービー物語以上に過激な連荘性能を誇る機種が数多く設置されており、本当に連荘機を摘発するのならば、その対象はいくらでも存在したはずなのです。


以後はあくまでも憶測でしかないのですが、違法改造と言えるだけの内部システムによって連荘を実現していた機種を選択した場合、ダービー物語しか残らなかったのではないでしょうか?


初期の単発打ち保留玉連荘機と違い、この頃は無差別連荘機とも呼ばれ、誰が打っても同じような割合で連荘が発生するような仕組みをメーカーが工夫するようになっていました。仮に連荘率が高くても、そのような台を摘発した場合、それを合格させた保通協も当然捜査対象となってしまいます。(検査時にも連荘が発生したはずですから)


検査時とホールで明らかに挙動の異なる台であり、実際の設置時には何らかの調整が必要な連荘機。こういう条件を考えるとアタッカーエラーを連荘システムに組み入れていたダービー物語が対象となるのは至って自然な経緯だったと考えられます。

(ダービー物語は大当り中のアタッカーVゾーンへの連続入賞が連荘の条件であり、釘をVへ誘導するような調整にしない限り、先ず連荘は発生しない)


そして事件とするには、やはり当時の大手メーカーでなければ話題性に欠けるという点で平和の機種が選ばれていた可能性も考えられます。マイナーメーカーの機種を捜査しても下手すると日工組側が知らぬ存ぜぬでシラを切り通す可能性があります。


メーカー側の逃げ道を防ぐという意味でも摘発するのは業界大手でなければいけなかったのかもしれません。業界初の上場企業でもある平和がその条件を全て満たしていたと考えるのは深読みしすぎでしょうかね?


事実同時期マルホンのソルジャー も各地(規模は不明ですが)で立ち入り調査が行なわれており、場合によってはこちらが摘発されていた可能性も考えられます。


一方平和は大手でありながら、CR機構想には反対の姿勢を貫いており、同様に当時行政が推進していた不正防止用ワンチップROMの使用も拒否していました。


お上の意向に逆らうメーカーには何らかのペナルティをと行政側が考えても不思議ではないですね。


尚、この事件で摘発された8軒のホールがいずれもCR機未導入店であったのは決して偶然とはいえないでしょう。いつまで経ってもなかなか導入しようとしないホール側に対しても事件を利用して見せしめ効果を狙ったと見るべきでしょうかね?


ちなみに埼玉県は当時CR機設置台数が全国一であり、それを更に推し進める為にも連荘機の撤去は必要不可欠であったようです。元々CR機を導入しなければ何らかのペナルティが発生するようなニュアンスでホールに圧力をかけ、仕方なく高額なコストを支払って導入したにも関らず、未導入店が何事もなかったのように当たり前に営業を続けている。


この状況が続くようだと、CR機の導入推進に悪影響を及ぼす。導入したホールからクレームが来たのか、未導入店が全く受け入れる姿勢を見せなかったのか・・いずれにせよ警察側も何らかのアクションを起こさない事にはいかない状況に追い込まれていたのでしょう。


連荘機規制という名目がありながらも、その背景には実に様々な思惑が絡んでいたように思えるのですが、これらは残念ながら全て推測の域を出ません。


今となってはその真意も真相も歴史の闇に埋まった感があるのですが、そもそも何故連荘機を規制しなければならなかったのか?


いずれの機種も保通協の検定を合格したものであり、本来ならばこちらの検査を強化すればそれで解決したはずではないのか?


連荘機は当初、検定時の盲点を付く形で考え出されています。ホールでは連荘するものの、設置されているのは検査時と全く同じであり、少なくともその時には連荘は発生していない。要するに連荘を認めてしまうと、それをチェックする為に検査の方法を改めなけ

ればならない。その手間を考えるととりあえずは見て見ぬふりをしておこう。


長らく連荘機は存在しないという見解を示していたものの、もはや見過ごす事が出来ない位に数多くの連荘機がホールには設置されており、これらを撤去するには何らかの大義名分が必要ながら、その責任問題を追及した場合、それまでの対応の不味さを指摘される事を恐れた行政側が、あくまでもメーカーの問題とする為に、世論操作を目的として摘発したと、考えるのが一番納得が行く理由だったりするのですが・・・・


それを裏付けるかのように逮捕者が出た翌日の10月26日、藤商事の社長と経理部長が大型脱税の容疑で逮捕されるという事件も発生しています。時期的な事を考えるとこれならパチンコ業界相次ぐ不祥事というイメージが持たれても仕方ないですからね。


■追記■(情報提供:古米店長M55X様 )


そもそも型式試験時の基板では本当に連チャンはしなかったのです。

書類のみの添付で認められていた、当該機と「全く同様」の動作をする、とされていたコンデンサや抵抗などの互換部品、これらのなかに連チャンするための特定の部品があり、出荷時にはその互換部品を搭載して出荷していました。スタックのオーバーフロウなどの処理落ちは正規の部品ではありえないのが真実です。


型式試験の盲点を突いたというより、「全く同様の動作をする部品に限定して互換部品を認める」

というのを担保に、互換部品は書類添付のみで試験を行わない、というのを悪用したメーカーの詐欺行為です。


よく耳にする「検定通したのだから合法の機械だ」という理屈は通りません。


型式試験とは明らかに違う性能を持った機械をメーカーは出荷していたわけですし、その搭載されている互換部品は明らかに虚偽の申請をしており、また万が一ただの過失だったとしても結果として同様です。


本来ならば全メーカー2項取り消しになってもおかしくない事例です。


保通協の検査員は能無しだ、とよく言われますが、実際は物凄く優秀な人材の集団です。

結果として連チャン機の件はCR機開発のための取引条件に使われただけでしょうね。


その後1999年頃までは型式申請した際に搭載している部品以外は一切認められなくなりました。


ちょっとニュアンスが異なるかもしれませんが、パチスロ3号機でコンチネンタルがセレクタを利用して連荘させていたのに非常に近いのではと感じました。これならばメーカーが検定取り消し処分になっても仕方がないような気もします。


コメントを頂いて記事にする際参考にさせてもらった当時の専門誌をもう一度調べなおして見たのですが、このような技術的な部分に関する記述は皆無でした。貴重な情報本当にありがとうございます。


尚、最後の方に書かれている「2項取り消し」というのは恐らく検定の取り消しに関する事だと思わ

れますのでそれも記載しておきます。


【国家公安委員会規則 第4号・第11条】


1・公安委員会は、技術上の規格が変更された場合において、変更前にした検定に係わる変更後

の技術上の規格に適合しないこととなると認めるときは、その検定を取り消さなければならない。


2・公安委員会は、検定を受けた者について、次の各号に揚げるいずれかの事実が判明したときは、

その検定を取り消す事ができる。


1)偽りその他不正の手段により当該検査を受けたこと。

2)検定を受けた型式に属さない遊技機を、検定を受けた型式に属する遊技機として販売し、又は

貸し付けた事。


3・公安委員会は、前二項の規定による検定を取り消したときは、その旨を公示するものとする。



正直ですね、これ全て読むと、警察もメーカーも、どっちもどっちですなあ、て事ですかね。

そんなきな臭い、嘘臭い、グレーゾーンな遊びを、みなさん続けますか?

私は続けます(笑)

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