たまには和歌な日を
こんばんは。
ゴルゴ103でございます。
今日は和歌の日です。
だいぶ、涼しくなってきましたね。
暦の上ではもうとっくに秋、と言うことで。
まだ少し早い気もしますが。
百人一首より、秋の和歌をお届け。
奥山に
紅葉踏み分け
鳴く鹿の
声聞くときぞ
秋は悲しき
⚪︎作者
猿丸大夫
⚪︎現代語訳
奥山で、散った紅葉の葉を踏み分けながら、鳴いている鹿の声を聞くときこそ、秋はもの悲しいと感じる。
⚪︎解説
百人一首では猿丸大夫の作ということになっておりますが。
実は、この猿丸太夫、三十六歌仙の1人で、家集もあるのに、真作といえる歌はないんですね。
この「奥山に」の歌も、古今集では
「よみ人知らず」となっています。
ちはやぶる
神代も聞かず
龍田川
唐紅(からくれなゐ)に
水くくると
⚪︎作者
在原業平
⚪︎現代語訳
神様の時代にも、龍田川が水を鮮やかな赤に染め上げるとは、聞いたことがない。
⚪︎解説
百人一首の中でも、特に有名な和歌ですよね。
この和歌は学生時代に、和歌の修辞法を習うのに、やたらと出てきたような気がします。
作者の在原業平は、技巧的な和歌を多く残していて、伊勢物語の主人公のモデルとしても有名です。
村雨の
露もまだ干(ひ)ぬ
真木の葉に
霧立ちのぼる
秋の夕暮れ
⚪︎作者
寂蓮法師
⚪︎現代語訳
にわか雨の露もまだ乾かない常緑樹の葉に、また霧が立ち上っていく秋の夕暮れ。
⚪︎解説
新古今集に「三夕(さんせき)の歌」と呼ばれる「秋の夕暮れ」で終わる3つの和歌があり、こちらがその内の1首です。
他2首は西行と藤原定家のもので、この2人は別の和歌が百人一首に入っています。
あしびきの
山鳥の尾の
しだり尾の
ながながし夜を
ひとりかもねむ
⚪︎作者
柿本人麿
⚪︎現代語訳
山鳥の長くたれた尾のように長い夜を、独りで寝て過ごすのだなあ。
⚪︎解説
長い枕詞・序言葉と、反復される「の」が印象に残る和歌です。
作者の柿本人麿は、万葉集を代表する歌人として知られていますが、どういう人物かはよくわかっていません。
この歌も人麿の作かどうか定かでないようです。
きりぎりす
鳴くや霜夜の
さむしろに
衣かたしき
独りかも寝む
⚪︎作者
藤原良経
⚪︎現代語訳
こおろぎが鳴く霜の降る寒い夜の筵の上で、着物を片方だけ敷いて独りで寝て過ごすのだなあ。
⚪︎解説
部立は秋ですが、上記の柿本人麿の歌ともう1首、古今集の歌を本歌取りした恋を詠んだ作品です。
この歌を詠んだ当時、作者・藤原良経は妻に先立たれたばかりでした。
最近は、地球温暖化のせいでしょうかね。
「秋」を感じられなくなってきました。
風情のある秋を感じたいものです。
今日はこの辺りで。
ありがとうございました。
ではまた、次回。