たまには和歌の日を
こんばんは。
ゴルゴ103でございます。
今日は和歌の日。
今日の和歌のテーマは「恋愛」。
万葉集から選んでます。
古代の方の気持ちが詰まってます。
磐之媛命、笠女郎、編。
ありつつも
君をば待たむ
うち靡(なび)く
わが黒髪に
霜の置くまでに
⚪︎作者
磐之媛命(いわのひめのみこと)
⚪︎現代語訳
このまま私は恋しいあなたを待ちましょう。
私の黒髪に霜がおりるまで、白髪になるまでも。
秋の田の
穂の上霧(き)らふ
朝がすみ
何方(いづへ)の方に
わが恋ひやまむ
⚪︎作者
磐之媛命
⚪︎現代語訳
秋の朝、稲穂の上に霞がたなびくように、私の恋心はどこへも行かず、貴方だけを思ってただよっています。
君が行き
日長くなりぬ
山たづね
迎へか行かむ
待ちにか待たむ
⚪︎作者
磐之媛命
⚪︎現代語訳
貴方が私のもとを去って長い日にちが経ちました。
貴方のおられる山奥まで訪ねて行きましょうか、お帰りをひたすら待ちましょうか。
かくばかり
恋ひつつあらずは
高山の
磐根し枕(ま)きて
死なましものを
⚪︎作者
磐之媛命
⚪︎現代語訳
こんなに貴方を恋い慕っている苦しさに耐えているより、高い山の岩のもとで死んだほうが良いくらいです。
君に恋ひ
甚(いた)も術なみ
楢山の
小松が下に
立ち嘆くかも
⚪︎作者
笠女郎(かさのいらつめ)
⚪︎現代語訳
あなたが恋しくてたまらず、なら山の松の木の下に立って嘆き続けました。
陸奥の
真野の草原
遠けども
面影にして
見ゆとふものを
⚪︎作者
笠女郎
⚪︎現代語訳
遠い陸奥の国にあるという真野の草原は、遠くても面影として見えるというのに、近い都にいらっしゃる貴方を見ることはありません。
白鳥の
飛羽山松の
待ちつつぞ
わが恋ひわたる
この月のころを
⚪︎作者
笠女郎
⚪︎現代語訳
白鳥の飛羽山の松のように、あなたに会えるのをひたすら待っています。
我が命の
全けむかぎり
忘れめや
いや日に異には
念ひ益すとも
⚪︎作者
笠女郎
⚪︎現代語訳
私の生命がある限り、貴方のことは忘れません。
日ごとに想いが増す事はあったとしても。
朝霧の
おほに相見し
人ゆえに
命死ぬべく
恋ひ渡るかも
⚪︎作者
笠女郎
⚪︎現代語訳
朧な朝霧の中でお目にかかったあなたゆえの恋に、死にたいくらい恋しいです。
伊勢の海の
磯もとどろに
寄する浪
恐(かしこ)き人に
恋ひ渡るかも
⚪︎作者
笠女郎
⚪︎現代語訳
伊勢の海に打ち寄せる怒涛のように、諦めようとしては再び思いを寄せ続けています。
☆磐之媛命(いわのひめのみこと)
生年不詳 - 仁徳天皇35年6月。
古墳時代の皇妃。
「日本書紀」では磐之媛、「古事記」では石之日売、その他、いはのひめ、磐姫とも記す。
仁徳天皇の4人の皇后のうちのひとり。
☆笠女郎(かさのいらつめ)
奈良時代中期の歌人。
生没年未詳。
一説には笠金村の娘。
大伴家持とかかわりのあった十余人の女性のひとりで、同時代では大伴坂上郎女とならび称される女性歌人。
この時代は、中々の直球勝負ですね。
回りくどくない。
今日はこの辺りで。
ありがとうございました。
ではまた、次回。